〈前回の続き〉
ボーダーラインから脱却すべし
面接官も人間である以上、感情を持って面接に取り組んでいるのですが、受験者が、質問を通して面接官が把握したがっている意図を出来るだけ読み取ろうと傾聴し、面接官の気持ちに寄り添って回答しようと努める態度がみられるかどうか。これが評価心証に影響します。面接官の頷きや表情と摺り合わせながら、話そうと努力しているか。要は、きちんと双方向性のコミュニケーションが取れているかどうか。しっかりとした発信と受信ができているかどうかということです。このあたりを意識して答えられない人や、意識していたとしても対応が全然ダメな人は、どちらにせよ、落ちる可能性が高く、ほかができていてもボーダーライン上でさまようことになります。個人指導の場でよく言うのは、「とにかく評価を上位保て!ボーダーラインから脱却せよ!」ということ。採用側のその時々の事情で去年は受かっていたのに今年は厳しかった、あるいはその逆になるのです。とくに年齢的に歳を重ねている人の場合、事情はかなり厳しくなります。ボーダーラインでうろうろしないことです。
圧迫質問などの緊張場面での振る舞い
緊張場面や想定外の展開でパニックになるような人や、強いストレス下ですぐに無力になってしまう人を敬遠するという業界が多いのですが、とくに管理者ともなればしっかり対応できなければなりません。このような状況下で採用適任か、管理者適格かを判断する機会としてとらえられることが多いのも現実です。いわゆる圧迫面接なども、この手のスクリーニングに該当するでしょう。圧迫面接は、受ける側としてはストレスですが、ストレス下でもある程度の実力をたたき出せる人間なのか、それともストレス下では全く使えない人間なのかを見極める試金石としては、用いられているのも事実です。ストレス下におけるパニック状態こそ、受験者の本音が読み取れるため大なり小なりその種の質問を投げかけてくることも多いのです。この点が理解できていない面接官はいないはずです。 本当は緊張していても、パニックを最小限に抑えて行動できる人というのは、あらゆる状況に強い人材として期待でき、反対に、緊張や想定外の展開に際し実力が発揮できない人は、“不適格者”のレッテルが貼られます。
日常生活の態度・経験の多寡・素養が面接で露呈される
面接官には、嘘や誇張は通用しません。面接官は、言葉や態度の節々で受験者をしっかり評価しています。そして、“不適格者”っぽい兆候がどの程度みられるのかに、目を光らせています。どうせ受験者は、受験者がその場を適当に繕っても無関係に評価出来るポイントに着眼しよう、というわけです。口では大言壮語を吐いているけど、コミュニケーションの意図や文脈をちっとも読もうとせず、緊張場面や想定外の場面で脆いような人物は不要、逆に、面接を受ける立場からみれば合格に必要な要件をきっちり満たしていれば、面接官からダメ出しをくらいにくくなる、ということでもあります。業種や選考レベルにもよりますが、「面接官からの質問の内容や意図をきちんと理解し、簡潔に要領よく回答出来る人」や「緊張場面や想定外の展開でも、それなりに立ち振る舞える人」というのは、良い印象を面接官に与えることができるでしょう。こういうのは、面接直前に付け焼き刃的に勉強しただけでは身に付きにくく、日常生活の態度・経験の多寡・素養しだいという部分が大きいのです。これから面接を受けるという人は、小手先の面接テクニック本を買い求めるよりも、その前に、自分自身の日頃の生活やコミュニケーションの態度を省みたり、自分の弱点に詳しくなっておいたほうが、得るところが大きいのではないでしょうか?もちろん日頃の成果を第三者に判断してもらいアドバイスを受けるのも賢い選択です。いずれにせよ、先も見てしっかり準備に取り組むことです。
ご健闘を祈ります。
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