面接の回答にうろたえるべからず
面接指導の模擬面接でよく「この人は質問の意味が分かっているのだろうか?」と思ってしまうことがあります。意図はずれの回答や質問の回答に時間がかかってしまうなど基本的なコミュニケーションができていないというケースがたび重なると残念ながら合格には至りません。昇格面接に限らず、就職面接や受験面接であれ、面接官は限られた時間のなかで、受験者が合格要件の物差しに合うものであるかどうかを判断し、物差しに合わなければ切捨てすることが面接官のひとつの役目となります。わずかな面接時間で判断しなければならないのですが、そこは面接官も慣れたもの、与えられた時間の中で、それなりに判断可能な質問をぶつけて反応を見るわけです。受験者は、面接官に少しでも良い印象を与えるべく、時になにがしかの嘘や誇張を交えてくる場合があり、それを前提に面接しなければならないことにもなります。面接官が受験者を判断するのは、このわずかな時間の中でのやり取りがすべてです。昇格面接の場合ならそれなりの信頼度でチェックできる情報はあるものの、面接では、もっぱら面接の内容で決まっていきます。受験者に関する情報は受験者が言葉に出して喋った内容そのものから得られる事が多いのです。“こちらの合格要件に満たない者”を見抜き、除外することに手慣れた面接官は、受験者の誇張、その場限りで繕ったのウソに左右されにくい領域から豊富な情報を引き出し、判断材料としています。一方で機転をきかせて窮地を脱する対応もこれまた一つの技ですから、それはそれで評価されるのです。冒頭に書いたように質問の回答に窮してうろたえるようでは評価は悪くなります。
受験者の発言の真偽のウラがとれるという場面は、正直あまり多くはありません。しかし、幸か不幸か、短時間の面接のなかで2つの異なった質問の中から矛盾する回答を得た場合、あるいは見え透いた嘘をみかけた場合には、非常に不利になります。面接場面という重大かつ短時間の場面で緊張しているとはいえ、精度の高い回答ができなければ、単に不正直というだけでなく、機転に難があるか、軽率な人物であることを暗に示していることになります。よく性格調査などで似たような質問がいくつか出されていることがありますが、これも答えの確度を高めるために行うもので、面接でも同じことが言えます。意図が同じでありながら、質問の仕方が異なっている場合、回答に矛盾が生じるということはありますが、程度によって合格要件に満たない者と判断されるだけでなく、それが後々尾を引く場合があります。語る内容の真偽が分からない場合でも、質問の内容や意図をどこまで読み取っているのか、あるいは読み取ろうと努力しているのかは、かなり信頼度の高い情報として面接官の手元に残ることになります。
1)「あなたは、なぜこの試験を受けたのですか?」 ・・・・・人事に言われたとか上司が推薦してくれたとは決して言ってはいけません。
2)あなたの強みと弱みを述べてください?・・・・・・個人的な領域+仕事との関連で答えます。
3)最近関心のある出来事は何ですか? ・・・・・昨日の野球の結果や、ごひいきの芸能人のゴシップを聞いているわけではありません。
4)これまでずっとやり続けていることは何かありますか?プライベートのことでも構いません。・・・公私とも、継続的、上位志向が好ましい。
5)この1年で頑張ったことは何ですか?・・・・・何をどう頑張ったのか、そのプロセスと得たことの教訓が知りたいです。
6)入社してから今日までに印象に残っている出来事は何ですか?・・・・・・聞かれてから考えるようでは、アウトですよ。
7)あなたは人間関係で悩んだことは何かありますか? ・・・・・誰でも大なり小なり悩むもの。まったくありませんというのはあり得ません。
質問の字面通り、プライベートなこと(プライベートなことを聞かれた場合を除き)や、仕事との関連を無視して答えると、面接官は回答から見える、個々人の価値観や生活状況。外部とのかかわり方や他人とのコミュニケーションの取り方などが見えにくくなります。質問をシッカリ聴くと同時に、意図を瞬時に読み取って適切に回答できなければなりません。面接対策の訓練も大事ですが、それ以前の合格にふさわしい人としてのベースができていなければなりません。〈次回に続く〉
ご健闘を祈ります。
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